綿野舞(watanobu)山歩紀行2018
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4月30日 断崖の 恐怖に似合わぬ 山の花
荒船山艫岩1345m 群馬県下仁田町・長野県佐久市  地理院地図は→こちら
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荒船山は転落事故で知られている。怖い山との印象が強い。ただ、どこの山でも断崖絶壁はあるし、落ちれば命がない箇所は少なくない。だから、何故荒船山だけが頭抜けているのかと不思議に思ってはいた。だいたい、そんな怖いところなら容易に人は近づかないだろうし、近づくとしても相当に気を付けるはずだからだ。で、今回行ってみて分かった。その断崖、平らな地面がいきなり途絶えてそのまま絶壁になり、その先は空中という状態なのだ。しかも、断崖に向けて多少下がり勾配の平面。うっかり端まで行って覗き込もうものなら・・・いや、覗き込まなくても、うっかり勢いをつけて歩こうものなら・・・落ちる気がなくても落ちてしまうことも・・・そう思うと、ゾッとする。にもかかわらず、意外と人気の山なのだ。断崖の上は絶景でもあるし、怖いもの見たさもあるのだろう。それに、断崖の艫岩に至る登山道には、山の花々。可憐な花の先に恐怖の断崖、なかなか人を引き付ける仕掛けではある。
ここに載せきれなかった写真はYouTubeにあります ⇒こちら 
 渡辺伸栄watanobu
4日前、妙義山から見た荒船山。まっ平らなテーブルマウンテン、右が船尾になぞらえて(とも)岩、垂直に切れ落ちた断崖絶壁。山上台地の左端ピークが船首に当たる経塚山。見れば見るほど奇妙な形の山だ。 
内山峠から入った登山道。ミツバツツジが咲き誇る季節、いたるところに紫色の鮮やかな色と瑞々しいミドリの三つ葉が目についた。なんとも柔らかく優しい色合いだ。
初めてみる花に興味津々。調べると「ハシリドコロ」。登山道各所の谷間沢筋に群生していた。珍しい花でもないようだが、我らはこれまで見かけたことはない。いかにもランナーにふさわしい名だなどと我田引水。ところが、毒性あり、食べると錯乱して走り回ることからついた名だとか。がっくり。いや、毎日走っているのはほとんど錯乱状態かも。 
 
フデリンドウが、一ヶ所、群れ咲いている所があった。一つの茎に複数の花があることで、ハルリンドウと見分けるのだとか。一茎一花のハルリンドウ、その高山型がタテヤマリンドウなのだとか。みな、花はそっくり。多少の違いは無視して、みな同じ名にしてもらうとありがたいのだが。違いの分かる人になりたいためか、なかなかそうはしてくれない。 
 
近づくにつれて、すさまじい絶壁が目の前に聳え立つ。あそこの上から転落したら身体が下につく前に息絶えること間違いない。事故が絶えないという、クワバラクワバラ。 
 
艫岩の断崖絶壁の上に立った。目はクラクラ、足はジワジワ、尻はジンジン。いや、立っている本人よりも周りで見ている人の方がもっと怖い。「やめて、それ以上近づかないで」と声が飛ぶ。もちろん、崖の方に近づくなという意味だ。 
 
ここなら安全という位置に立って記念撮影。遠くに霞むのは浅間山、噴煙も少し見えた。崖の縁に突起物も何もなく、平らなまま断崖になるのだから、うっかりするとそのままスーッと進んでしまう人も出かねない。だから、ここは怖い。
標高1300mを超える山上は平坦な樹林。絶壁の崖上に広い台地、まさにテーブルマウンテン。その一角に湧き水が集まって小さな流れになっている小川がある。そこまで散策してUターン。明日は瑞牆山に登るため、荒船山との中間にある松原湖高原にキャンプする。そのため、荒船山山頂の経塚山まで往復するには時間が足りない。艫岩を見れば十分だ。
登山道の水場に赤ピンクの可憐な花が群れていた。調べると、ミョウギイワザクラ。妙義山と荒船山の固有種だそうで、綺麗ないい花が見れた。
ワチガイソウ。現場ではタニギキョウかと思ったが、葉が違っていた。由来は、名が分からず、鉢植えのこの花に「○○草」と書いた名札を下げたのが、二つの○が交差して輪違い文様になったことから呼ばれたのだとか。この花に限らず名知らずの花は多いから、もしそれがホントなら、輪違い草だらけになりそうなものだが、どうなんだろう?。
黄色いこの花、ミツバツチグリという名らしい。一見して、我家の山林にあるヘビイチゴと変わらない。ただ、草藪に咲くヘビイチゴと違って登山道に咲くこの花、少々気品があるように見えた。それもそのはず、ミツバツチグリはキジムシロの仲間なのだそうだ。違いの分からない男には、少々難しい。
<コースとタイム>  内山峠登山口発10:34-11:44鋏岩-12:34艫岩13:18-山上台地散策(小さな流れまでで折返し)-13:33艫岩小屋前-14:23鋏岩-15:15内山峠登山口着
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