綿野舞(watanobu)山歩紀行2018
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5月6日 簡単な山などないと思い知れ
黒姫山2053m 長野県信濃町  地理院地図は→こちら
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上信越道を通れば否が応でも目に入るのは妙高山。もし逆に信州から越後へとその道を走れば、信越国境にどんと聳え立つのは黒姫山だ。山行の行き帰り何度となく目にしていて、もはや他人とは思えない山。いつでも登れるような気になって、なんとなく簡単に登れそうな山だと思っていた。事前情報では、人気の古池コースは融雪が進み、道はぬかるんでドロドロ状態だという。それに反し、表登山道は乾燥、残雪もまだ多く、雪面のルートを探しながら直登したとの情報。で、今回は表口から黒姫初見参ということになった。
ここに載せきれなかった写真はYouTubeにあります ⇒こちら 
 渡辺伸栄watanobu
麓は長閑な春。通りかかった地元の小母さん曰く「このコースは誰も登らない、みんな古池ルートへ行く」と。どおりで駐車場はガラガラ、せっかくの表参道なのに。それに立派な休憩所もあって、もったいない。 
さっそく登山道の脇に、ニリンソウのお花畑。道は乾いていて、いい感じの散策道。町民の森、親しみやすい感じがして好感度アップ。
突然現れたのが、白い花のエンレイソウ。過去に見たのは3年前岩手山の1750m付近で一株、その一回きり。それが、こんな800mの裾野にあるとは。しかも、登山道にそって次々と何株も。シロバナエンレイソウ、別名ミヤマエンレイソウ、この辺りでは珍しい花ではないのだろうか。 
標高1600mまで上がったら固い残雪、その上急斜面。アイゼンをつけてキックステップで雪面を刻み登る。1700mから上は等高線がグンと狭くなって、30度を超える傾斜。立木があるからそれほどの恐怖感は抱かせないが、角度はほとんど、あの飯豊の石転び沢雪渓の感じ。
斜面で一息ついて振り返れば、樹間から野尻湖が見えた。滑落すれば立木に激突ともなりかねないので、気は抜けない。それでも、眺めは最高。雪面にクマの足跡があった。立木の洞はどうやらクマのねぐらとみた。クマの領域に入っている。そおっと通らしてもらう。山頂稜線に近づくと、妙高山、火打山、焼山が見えてきた。 
黒姫山の山頂に立つ。標準で4時間のコース、途中の急傾斜の雪面で道が消え、ルートを探しながらところどころ藪もあったりで、1時間半ほど余計にかかってしまった。山頂からタクシーに電話して、大橋口に下山することで予約を入れた。そちらのコースは傾斜もゆるく、事前情報では残雪もそれほど多くないということなので、日が暮れる前にはタクシーに乗れるだろうとのUnqさんの計算。それでも念のため、全員、ヘッドライトをザックから出してチェック。結果として、下山は標準のタイムぴったり。
目の前に去年登った高妻山。あの秀麗な富士山型の高妻山も、横顔はまったく別な顔。富士山以外の山は、人間以上に裏表が激しい。富士が敬られるのは、最高峰であるということのほかに、その辺りに理由があるノカモシレナイナ。左は、一昨年登った戸隠山で、あのどこかに恐怖の蟻の塔渡りがある。後方奥は後立山連峰。白馬がちょうど高妻の陰か。
ズームにした写真を帰宅してからカシミール3Dのカシバードで照合してみた。中央が鹿島槍ヶ岳。昨年登ったオレの山。右に五龍、唐松と続く。鹿島槍の右奥に白く見えるのは、あれは立山から別山に続く稜線。あそこも去年歩いた。鹿島槍が双耳峰に見えないのは、こちらからは縦方向だからだろう。ずっと左に続く尾根に爺ヶ岳があるのか。だとすると、左方白く輝くのは針ノ木岳かあるいは蓮華岳か。登った山、まだ見ぬ山。いつか行く山。
 
中央に火打山、左が焼山。水面は笹ヶ峰の乙見湖か。あそこでのハイキングもなつかしい。妙高山は、ここからは右の木の陰になっている。 
飯縄山。まるで黒姫山とは双子のように並ぶ山。当初の予定は、明日が晴天であれば飯縄山も予定に入っていた。明日から天候が崩れるし、メンバーの都合もあって、今回は取止め。黒姫は想定外に体力消費だったから、ちょうどよかったということ。 
 
下山を開始して、火口の周縁稜線を進むと角度が変わって雨飾山が見えてきた。あの山に登ったのはもう何年前のことか。曇天で眺望は効かなかった。晴天の日にもう一度、あの山頂からこちらを見てみたい。 
<コースとタイム> 表登山道登山口発8:40-11:22日の出岩-14:28山頂15:20-17:00古池コース分岐-17:45大橋登山口下山(予約タクシーでPへ)
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