綿野舞(watanobu)山歩紀行2018
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7月15~18日 槍・穂高 万尺八峰 岩攀じり
槍3180m 大喰(おおばみ)3101m 中岳3084m 南岳3033m 北穂3106m 涸沢岳3110m 奥穂3190m 前穂3091m
長野県松本市・大町市・岐阜県高山市  地理院地図は→こちら 
  第1・2日目 五年ぶり 二度目の槍に ご挨拶 
上高地~槍沢ロッヂ泊~槍ヶ岳・大喰岳・中岳・南岳~南岳小屋泊 
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2日目、中々姿を見せない槍をようやく拝めた場所で一休み
話は少々長くなるが、槍ヶ岳とは個人的に因縁がある。2012年夏、Haseさんたちが槍に登った。私はMargoの帰省を優先して不参加だったが、羨ましさが募っていた。翌年春頃のこと、旅行社のツアーで8月槍・穂高縦走4日間の募集があった。大キレットを通るという。散々迷った挙句、意を決し応募の電話を入れた。逡巡の理由は、難所の大キレットにある。経験不足と年齢で無理だと断られ恥をかくような気がしたのだ。電話口の応答は簡単だった。もう満席になりましたと、それだけ。拍子抜けしたことを、4月に光兎山でバッタリ出遭ったUnqさんに話した。それも忘れかけた頃、Unqさんから連絡があった。主宰する山の会で8月槍へ行くのでよかったら参加しないかと。もちろん二つ返事。同行メンバーのアゴ固めで近々平標へ行くという。後で聞くと、それがどうやらテストだったらしい。事無く合格したらしく、8月2~4日槍~南岳周回山行に加えていただいた。それを契機に阿賀北山岳会に入会し、以降、私の山行は極めて頻繁なものとなった。だから、今の充実の日々あるは槍のお陰といっても過言ではない、ということになる。私にとっては槍様様なのだ。
ここに載せきれなかった写真はYouTubeにあります ⇒こちら  
渡辺伸栄watanobu 
1日目、上高地バスターミナルから4時間50分歩いて、15:56槍沢ロッヂに到着。2回目で慣れのせいか、それとも明日からのワクワク感からか、それほど長いとも思わず、ふと目を上げたらロッヂの建物が立っていたという感じ。Youmyさんも思わず、あれ、もう着いちゃった‼ 前回ほどの混雑はなく、名物の風呂も木の香漂う浴室に改装されていて、快適な小屋泊。但し、言い訳がましいが、今回の小屋3連泊は決して軟弱・堕落なのではない。大キレットから北穂・涸沢のコースは、体力度・技術的難易度共に一般登山道としてはグレーディング最高難度の道。だから、重いテント荷を背負っては無理と判断したUnqさんの安全最優先の配慮からなのだ。
2日目、5:36に小屋を出て只管槍沢を上り詰めた4時間後、この日一番の絶景ポイントに出た。頭上に槍、足下にはシナノキンバイ、対面に常念・蝶、その先雲海に富士・八ヶ岳・南アルプス。絶景を堪能。とは言え、この後の槍岳山荘までの登りはホントにキツイ。急坂を一歩一歩、見えている山荘に中々到達しない。只管耐える、一歩一歩。絶景ポイントから1時間かけてようやく稜線に上がり、山荘前で一息。
11:19槍の穂先へ。5年前に感じた怖さはない。あの時ここでは絶対下を見ないようにしていた。今は下を見ても、高度感にたいする恐怖心は薄れている。山慣れのせいだけでなく、週1のクライミング練習の効果。Youmyさん曰く、大キレット行きが決まってからの小生の練習には熱が入っていたと。それはそのはず。
UnqさんとYoumyさんへの感謝の一枚。平日のせいで渋滞も無く山頂滞留の時間制限も無し。こころゆくまで穂先からの大展望を楽しんだ。槍の穂先に、1度ならず、これで2回も立つことになった。その経緯(いきさつ)も話せば少々長くなる。
5年前、念願の槍登頂は果たしたものの、ツアーで行こうとした穂高も大キレットも残してしまった。それで、会の年初の計画では毎年、奥穂・北穂を希望してきた。恐る恐るできれば大キレットもなどと小さい声で付け加えながら。奥穂だけなら可と、計画に入れてもらってきたのだが、どういうわけか毎年天気に恵まれず、代替地への山行となっていた。それが今年、Youmyさんが大キレットに付き合うと言ってくれ、Unqさんもこれまでの実績から判断したのだろう、大キレットから北穂・奥穂の難行程を可としてくれた。そうなると欲が出る。折角ならば槍から北・奥・前の三穂高完全縦走にしたい。ということで2度目の槍様ご対面となったわけ。危険満載の道程をリードするUnqさんの立場としては、相当の危惧があったと思う。それでも快く決断していただいたことに心から感謝しているし、Youmyさんの力強い応援もあったればこそと、これまた心から感謝している。
13:12大喰(おおばみ)岳。5年前もここで記念撮影。ここもまた年年歳歳山相変わらず、歳歳年年人同じからず。
中岳への稜線岩場。5年前はここも凄い所だと印象に残ったが、今となれば何と言うこともない。5年前の方がむしろ新鮮だったような気もする。慣れは感覚の鈍りでもあるか。
14:12中岳山頂。5年前との違いは、あの時この稜線は濃いガスの中で視界がほとんどなかったこと。だから中岳の印象も薄い。今回は、薄いガスが時たまかかるものの視界はよく効き、終始、常念山脈やら足下のカールやらを見ながら歩けた。
中岳山頂を越えた稜線から。チングルマの咲く崖の下は天狗原で、逆さ槍で名高い天狗池はまだ厚い雪の下。5年前はあそこを通って下山した。左下が槍沢で今朝通ってきた道に合流する。深い谷の向かい側は常念岳。
天狗原を見下ろした地点から、南岳へ続く稜線の道がずっと見えている。意外と遠くかつ平坦な道ではない。中間にあるあの岩峰も攀じ登り乗り越えなければならなかった。だが、5年前の印象は薄い。多分、視界のないガスの中、無我夢中で先行者についていったからだろう。いい山は、1度と言わず2度、3度と味わうべきだ。
15:29南岳山頂。これで一万尺峰4峰目。明日と明後日でもう4峰。向こう側に常念と蝶ヶ岳。蝶の長い山頂稜線や小屋をやや見下ろし気味に歩いてきた。3年前に歩いたあの多重稜線や広い山頂広場を上から見ることができたのが嬉しい。
山頂を越えれば、すぐ足下に南岳小屋。そして、その先がシシバナ展望台。断崖の先に大キレットと北穂。ずっと前方、頭の少し平らな岩峰が最終目的地の前穂だろう。明日からいよいよ未踏の稜線へ冒険が始まる。心地よい緊張感。小屋到着後シシバナ展望台へ行って大キレットを何度も眺めた。
19:16夕焼け空の常念と蝶。南岳小屋の外は地図に常念平と書いてある。多分だが、常念・蝶を眺める絶景ポイントなのだろう。夕焼けは特によかった。
夕日の当たる大キレット。影が際立ってナイフリッジの稜線がよく分かる。あの黒くなった尖がりが長谷川ピーク、その先が飛騨泣き。そして北穂への岩壁ルート。Unqさんからもらった詳細地図を辿る。北穂の崖のてっぺん左端に少し赤く小屋が見える。あそこに上がればルートは右へ進み右端に涸沢岳、そこから中央に戻って奥に奥穂。涸沢岳と奥穂の中間鞍部に明日の宿・穂高岳山荘があるはず。画面左端遠く、最終目的地・前穂。これが、未踏の一万尺4峰。凄い‼、ただ凄い‼と息を吐き、じっと見る。画面右奥遠くは、乗鞍と御嶽。その左手前、岩の斜面の上奥に顔を覗かせているのはジャンダルムか。
19:24日没残照。左・笠ヶ岳、そのずっと左奥、雲海の先に浮かぶのは白山。画面右のピークは抜戸岳になるのだろう。ダウンの上下を着て小屋の外の南端の丘に登り、暗くなるまで周囲の山々をジーッと見入った。心地よい疲労感と明日への期待と緊張と少々の不安、それらをみな忘却させてくれる高山の夕景。
<コースとタイム>
1日目(7/15)・・・上高地バスターミナル発11:05-11:10河童橋-11:59明神館-13:01徳沢-14:01横尾14:26-15:56槍沢ロッヂ着
2日目(7/16)・・・槍沢ロッヂ発5:36-7:40天狗原分岐7:58-10:37槍岳山荘10:59-11:20槍穂先11:43-12:06槍岳山荘12:24-13:12大喰岳-14:12中岳-15:29南岳15:45-15:56南岳小屋着
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