綿野舞(watanobu)山歩紀行2018
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1月28日 スノモン(スノーモンスター)(なだ)め宥めて 二人行(ににんこう) 
西吾妻山 2035m 山形県米沢市 福島県北塩原村  地理院地図は→こちら
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最強寒波がようやく去ってくれたこの日、西吾妻山は絶好天。無雪期は展望の全く効かない山頂、積雪期に初めて立って見てその豹変ぶりに大仰天。何と、360度の大展望。眼前眼下に会津磐梯山、猪苗代湖に裏磐梯の湖沼、会津盆地。目を転じれば、安達太良山に東吾妻山、一切経山、東大巓の峰々。間近に米沢盆地、飯豊連峰、微かに朝日連峰、白銀の蔵王連峰。凍てつく寒風の中をここまで来たからこそのご褒美か。昨日まで荒ぶり続けたスノモンを宥め宥めての二人行。                  YouTubeは⇒こちら
 渡辺伸栄watanobu
冬の西吾妻山はなだらかな大雪原の山。一旦気象が狂えば忽ち視界を失う恐れあり、同行のUnqさん、背にしたマーカーを一本一本雪原に挿して行く。昨日まで荒れに荒れた山頂稜線、今日一日どうか穏やかでありますようにと、立ち並ぶスノーモンスターたちを宥め宥めして通らせていただく。20数本用意してきたというマーカー、全て使い切った頃、山頂に着いた。マーカーはもちろん下りに回収して戻る。
西吾妻に並列する飯豊山、山行中ずっと秀麗な白銀の姿を見せ続けてくれた。飯豊連峰と吾妻連峰は大峠を挟んで峰続きなのだが、しかし、一方は越後山脈、一方は奥羽山脈と系列を分かっている。いわば他家へ縁づいた兄弟みたいなものか。
梵天岩に向かう北斜面は風当たり弱く、積雪も深い。汗ばむくらいになって一歩一歩斜面を登る。見上げると、モンスターたちが三々五々、まるで陽射しを浴びるオットセイのように穏やかな表情で寛いでいた。昨日までの極寒烈風から解放されて、喜びのひと時なのだろう。
この穏やかなモンスターも、いつ気が変わって荒れだすか分からないのが山というもの。油断禁物、恐る恐る。
振り返れば、中大巓(なかだいてん)の広い雪原山頂。その先の白嶺は蔵王連峰。屏風岳の辺りが白銀に輝いて、熊野岳の切れ落ちた山容の特徴もよく見えた。
梵天岩。その先に一切経山。7年前の夏、ここの岩場から噴煙立ち上る一切経山を見た。右方に見えるのは東吾妻山か。
西吾妻山の山頂に立った。7年前の夏、ここは高木の森の中で眺望は一切効かず、それがどうだ、この大展望。西吾妻は冬こそ来たれの山かと、大感動。眼前に磐梯山と猪苗代湖、足下には真っ白に凍結した裏磐梯の湖沼。画面に入らないが、左方に安達太良山、右方に会津盆地、さらに右に西大巓とパノラマは続く。凍てつく山頂に寒さを忘れて立ち尽くした。
東吾妻山から続く安達太良山塊。真っ白に連なる箕輪山、鉄山、安達太良山、和尚山。鉄山と安達太良山の間から、一瞬、白い噴煙が上がった。7年前の夏に見た一切経山の噴煙かと勘違いしたが、あれはどうやら、牛の背・馬の背を吹き抜ける烈風が舞い上げた雪煙だったかも。あそこは確か強烈な風の通り道だったはず。
天狗岩まで戻って、吾妻神社の祠からつい先ほどまで立っていた西吾妻山の山頂を振り返った。登りに、最短距離をと前方斜面中央部を突破したが、スノモンが不規則に立ち並び迷路状態。どうやら、右斜面を迂回するのが正道だったらしい。薄日があるものの、烈風が体温を奪う。祠の陰に身を寄せて立ったまま水分補給と行動食。本日唯一の休憩10分。 
 
中大巓のかもしか展望台からリフト終点に向かって下る。左方に終始、飯豊の白嶺が寄り添ってくれていた。樹氷の間は寒風も当たらず、ずっと縮めてきた身を緩めて下る。
 
リフト終点に置いていったスノボ・スキーに履き替えて、ゲレンデを一気下り。眼前には蔵王連峰、なんとも気持ちの良い景色。天元台高原まで9分、そこからRWに乗らず湯の平コースを下る。元々は林道らしいこのコースが長い。15分かかって車道に出たらもう太腿の筋肉がパンパン。ところが、そこからRW乗り場上方の駐車場まで約700m、スキーを担いで歩いて坂道を上る、本日最後の難関が待っていた。車内に置いていったノンアルコールビール500ml、二人で乾杯、その美味かったこと。
 
<コースとタイム> 9:20発RW9:25天元台高原-リフト3本乗り継ぎ-10:25リフト終点(スノーシュー登山支度)10:53出発-11:18かもしか展望台-12:00梵天岩-12:38西吾妻山山頂13:01-13:16天狗岩13:26-14:17かもしか展望台-14:40リフト終点(スキー支度)15:08滑走開始―15:17天元台高原・湯の平コース-15:33コース終点-15:45駐車場
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