綿野舞(watanobu)山歩紀行2018
綿野舞の記TOPへ
4月12日  残雪やブナの芽吹きや春の五頭
五頭山前一ノ峰 910m 新潟県阿賀野市  地理院地図は→こちら
~山歩紀行目次へ~
4月から5月にかけての残雪の山には格別の趣がある。麓はすでに春だったり時には初夏だったり。それが、標高を上げるにつれて残雪が厚くなり、山頂は冬の状態のこともある。その間の変化がいい。冬から春への移り変わりの微妙な差異をひと時に味わうことができる。硬い殻を脱ぎ始めた冬芽、柔らかなミドリの芽吹き、咲き出したばかりの瑞々しい花々。春が、退く残雪を追いながら上がっていく。そして、温かい陽射しの下、固まった雪上を歩く心地よさ。公民館登山の実施日は、3日後の15日。参加者には、今日のこの残雪春山を存分に味わってもらいたい。と、思っていたのだが、生憎15日は低気圧通過で悪天の予報。公民館登山は年3回の計画で、昨年は1勝2敗。いずれも、下見時は絶好天。だから、中止にされた参加者からは下見だけ好天とはと怨嗟の声も・・・で、今年からバスの手配を厚くして予備日を設けることになった。五頭登山の予備日は22日、今のところ絶好天予報。春はより上へと進んでいるだろうし、花ももっと咲き始めているに違いない。怪我の功名というべきか、はたまた塞翁が馬というべきか。
 渡辺伸栄watanobu
何といっても春はこのブナのミドリがいい。何故ブナだけこんな柔らかなミドリになるのか。隣に並んだ同じブナでも芽吹きの早いのと遅いのと、個性があるのも面白い。
咲き出たばかりのシュンランとイワウチワ、その瑞々しいこと
残雪の定番、マンサク。これは花の中心部に赤味があるニシキマンサク。五頭山には赤味のない黄味だけのマンサクも目に付いた。種類の違いというより、単に呼び名の違いなのかもしれない。どちらのマンサクも残雪の山で会えば、いい花だ。
二ノ峰を越えて一ノ峰へ向かう。春の雪は固く締まっていて、無雪の道よりも登りやすい。道を無視して直登できるのもこの時季ならではの醍醐味だ。
本日の終点、前一ノ峰からの眺望。右端の菱ヶ岳から続く五頭連峰の長い稜線。この時季のこの雪上稜線縦走はまた格別で、下見でなければそちらのコースを選んだだろうに。遠くに御神楽岳と日本平山などの河内山塊、今年はぜひ行って見たい山。
前一ノ峰からの飯豊連峰は、五頭山登山の目玉スポットだろう。大日岳の後方微かに飯豊本山も見えたし、大日岳の右方蒜場山のさらに右方遠く、微かに影のように会津磐梯山も見えていた。1月に見えた鳥海山はさすがにこの時季、霞の彼方だったようだ。
三ノ峰に戻って、風を避け避難小屋の中を借りて、Keynさんのお点前で野点ならぬ小屋点の一服。高級羊羹を口に入れて、抹茶を啜る。これがまた、美味いのなんのって。贅沢に尽きるというもの。
三ノ峰から下山は五ノ峰へ。40名が昼食をとるには雪上よりはここが良いかもと見分。当日の風やら陽射しやら、様々な状況を予想して。
 
イワウチワは白花ももちろんいいが、ピンク系はもっといい。色の違いはどこから来るのか、なぜこうも違うのにイワウチワの場合は別種にはしないのか、植物学というのは素人には理解しがたい部分があって、聞きかじった半端な知識をしたり顔にしゃべるのはもうやめにしようと思っている。ただし、やめたいのは知識の方でなく、したり顔の方である。
 
途中から二組に分かれ、UnqさんとKeynさんは五ノ峰から旧スキー場ルートの見分、Ike会長さんと私は、烏帽子岩経由出湯温泉ルートを見分した。烏帽子岩へのルートは残雪で消え、トレースも見つからず、途中藪漕ぎで大汗をかいたが、結局、安全第一の団体登山は三ノ峰ルート往復が最適ということになり、スキー場ルートも出湯ルートも避けることになった。久しぶりのGPS頼りの藪漕ぎだったが、今年から歴史館の古道探索が復活することになっていて、その下調べは多分大藪漕ぎになるだろうから、ちょうどいい小手調べにはなった。人間万事塞翁が馬、転んでもただで起きない山岳会、常に何事か得るものはある。 
 
ムラサキのキクザキイチゲ。この花の色もイワウチワ同様真っ白があるかと思えば、紫の濃いのと変化がある。ムラサキイチゲと言ってあげたいのだが、勝手に名付けることなどもちろん植物学では許されないのだろうが、自分で勝手に呼ぶことには何の差しさわりがあろうかというものだ。
<コースとタイム> 三ノ峰コース駐車場7:32-9:52三ノ峰-10:16前一ノ峰10:29-10:48三ノ峰11:52-12:05五ノ峰-13:08出湯分岐(2班別行動)-13:37烏帽子岩-14:24出湯コース駐車場先で合流 
YouTubeは⇒こちら
ページのTOPへ