綿野舞(watanobu)山歩紀行2019
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7月9日 空青く ムーミン谷は花盛り
秋田駒ケ岳 横岳稜線1590m 秋田県仙北市  地理院地図は→こちら 
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2度目の秋田駒。3年前は9月で花の時期を過ぎていたのでムーミン谷には降りていない。今回は国見温泉口からまっすぐに、その花の谷へ直行。狙い通りにドンピシャリ。大焼砂の斜面はコマクサが群れ、谷に降りれば一面のチングルマ、ヒナザクラ、そして初めて目にしたエゾツツジ。要所要所にシラネアオイ。標高差200mの壁を息荒く登りきれば横岳の稜線。そこにもエゾツツジ咲き誇り、空はあくまでも青く、眺望は抜群。北に森吉、遠く岩木山、東は厚い雲海の上に早池峰、南は昨日の焼石、その奥に栗駒、すぐ隣に和賀岳これは未だ見ぬ山。西には昨日に変わらぬ鳥海の麗姿。花と眺望の焼石、秋田駒、何とも贅沢なみちのくの山旅。
 渡辺伸栄watanobu
昨日は、焼石岳を下山後100㎞移動して雫石へ。道の駅あねっこに付設のオートのキャンプ場は貸し切り状態で、一人一張のゆったりテント泊。温泉付き。
登山口の国見温泉。ここから登る秋田駒はなかなか味わい深い。それに、下山後に浸かった緑がかった珍しい色の湯が、秋田駒の味わいを一層引き立たせてくれていた。
1時間ほど直登すると横長根という尾根に出る。と、眺望が開け忽然と秋田駒が現れるという仕掛け。目の前に女岳、その先に男岳から横岳に連なる稜線。目指すムーミン谷はあの稜線の下にある。稜線を進むほどに樹林帯は低くなり展望が広がっていく。
足下には花々が次々に現れて、遠望と近望と、ここからずっと焦点合わせの忙しい、楽しい時間を過ごすことになった。ミヤマハンショウヅル。
ベニバナイチヤクソウ
花の焦点合わせに余念ないUnqさんのずっと向こうに鳥海山。雲海もちょうどよい具合に広がっている。
大焼砂の分岐近くから、正面に男岳。3年前はあの稜線の向こう、反対側の斜面を登ってあの頂に立った。
エゾツツジ。ずっと以前、Murandoさんから度々送られてくる画像の中に見た覚えがある。実物は初めて。思っていた以上に綺麗な花。この後、次々と現れて目を楽しませてくれた。
大焼砂の荒れた斜面には小さなピンクの固まりが点々と
言わずと知れたコマクサ
ムーミン谷に入った  噂通りの花の谷
チングルマ
ヒナザクラ  小さなこの花で一面びっしりの斜面も
チングルマの穂の間にエゾツツジ
谷の底から男岳を見上げた。頂から正面に下る岩の尾根の右側の少し窪んだ斜面に登山道がある。ここからだと、まるで屏風か壁を登る気分。
標高差200m。8合目までバスで来た登山者の多くは我らと逆回りのコースをとるようで、この急坂を下って谷を伝い大焼砂の長い長い緩斜面を登って帰る。でも、どんな急坂も一歩一歩登って行けば何とかなるもの。短く登って長く下るか、その逆をとるか、それはそれぞれの考え方。言ってみれば山の楽しみ方の違い。
ツマトリソウ 山ではそれほど珍しい花ではないが、こんなに艶々したツマトリソウは初めて見た。ムーミン谷のは別格なのだろうか。それとも別な花なのだろうか。だとしたら、さぞかし名のあるお方に違いない。
稜線に上がったKeynさんとIke会長、清しくも爽やかな笑顔だこと。風、花、みな頑張った人へのご褒美。
そして、最高のご褒美は、高所に立たなければ得られない眺望。稜線の反対側、眼下に大勢の登山者が歩く阿弥陀池。3年前、Okkaaも歩いた道。秋田駒の主峰・男女岳の斜面を団体が賑やかに往復する声が響いていた。池の先遠くに岩手山。
昨日からずっと見ている鳥海山、その麗姿を褒めつつ大展望を楽しみながら横岳への稜線を進む。天空漫遊の気分。
南の方。目の前に横たわる和賀岳、その左、雲の上に昨日登った焼石岳、そのさらに奥は栗駒山、登ったのは5年前、紅葉のとりわけきれいな年だった。
北の方。眼下の木道は8合目から登って来る登山道で、3年前はこの道を来た。右は秋田駒主峰・男女岳。その斜面の遥か彼方に薄く見える独立峰は先月登った岩木山。左方の雲の下の大きな山は、3年前秋田駒の翌日に登った森吉山だろう。こうやって見ると、東北の山も随分登ったものだ。登った山はオレの山。
ミヤマダイコンソウ  ただのダイコンソウなら我家の山林でもよく見かける花。こうやってミヤマがつくとなぜか一段品が上がる。いや、高山の花はみな気品があって気高いのだ。
横岳から大焼砂へ下る長い稜線。そのはるか先、雲海に浮かぶのは早池峰山。あそこに登ってから早6年、ついこの間のような気がする。観光地の印象はすぐに薄れるが、登山の印象はいつまでも残り時間の感覚が縮まる。
横岳稜線の最高地点で大休止。バックに田沢湖。3年前はあの湖畔でキャンプ。高床バンガローの床下での焼肉が、なぜかたつこ姫の像と共に懐かしく思い出される。
岩手山とその左の平らな山並みが八幡平。Unqさんによれば、ここ秋田駒から岩手山、八幡平へと続く登山ルートがあって、歩く人もいるのだとか。試しにヤマプラでざっとルートを計ったら合計34時間と出た。1日8時間歩くとして4日か5日。今目の前にしているこの山並みを歩き続けるのも、行としては悪くはないかもですよ。
タカネスミレ 大焼砂はこの花の名所でもあるのだとか。タカネスミレとキバナノコマノツメは、花では見分けがつかず葉の色と硬さで見分ける。似た花でオオバキスミレにミヤマキスミレというのがあって、更に八ヶ岳にはヤツガタケキスミレ・・・もういい加減にして似た花は一つにしてくれ~。
大焼砂から見下ろしたムーミン谷の全景。これだけ離れると、あれだけの花の谷とは思いもさせない。山は行って見なければ分からない、谷は入って見なければ分からない。
大焼砂のコマクサ 見納めの一枚
イワブクロ 本州では、ここと岩手山と鳥海山にしかないという。これで、三山ともこの花を見たことになる。あとは、北海道だ。
初めて逢ったエゾツツジも、見納めの一枚。岩の裸地に広がっているところをみると、この花もコマクサと同じに、逞しいパイオニアプランツなのだろうか。
とまれ、絶好のこの時期に秋田駒を訪ねることができた。実は、元々の計画はKeynさん希望の2泊3日の北岳山行。そこの天候が思わしくなく前々から代替地に何度も上がっていた焼石岳に行くことになり、2泊1山ではもったいないと最終日に姫神山をとなったのだったが、同行4名中、私だけムーミン谷に降りてないのを憐れんでか慮ってか、急遽Unqさんが国見温泉ルートを選んだのであって、結果はこの通り大満点大感激大感謝。
ここに載せきれなかった画像はYouTubeで⇒こちらから
<コースとタイム> 登山口P発6:00-7:09横長根分岐-8:15大焼砂分岐-9:12ムーミン谷終点-9:54横岳稜線-10:32稜線最高地点11:20-11:35横岳-12:16大焼砂分岐-12:48横長根分岐-13:29P着
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