綿野舞(watanobu)山歩紀行2019
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5月26日  藪漕いで嗚呼山頂に辿り着く 
三角点山576.6m 新潟県関川村  地理院地図は→こちら 
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スタート地点の小和田は、かって村上藩の口留番所のあったところ。つまり街道の要衝。今年度古道探索第2弾は、古のその街道の痕跡を辿ろうというもの。例によって至る所藪漕ぎ。藪を透かして足元を見れば、時々道らしき踏み跡が見つかる。数百年に及ぶの先人の足跡が地面に押印されているように感じられて、さながら古文書の地面版とも言えようか。
 渡辺伸栄watanobu
ひたすら藪を漕いで登る。それは最早、行のようなもの。ただ、グリーンシャワーを浴びながらだから、悪い気はしない。というより爽快。野生に戻った気にもなる。とは言っても、それも個人差。なんで、こんなことを・・・とぼやきの人もいたことだろう。行とはそもそもそういうもの。 
昼食休憩も藪の中。藪の斜面にそれぞれ陣取って、まるで雛壇。首に巻いたタオルにダニがいた。獣が住む世界に分け入っているのだから、ダニがいて当たり前。ダニにもヒルにも驚かない。みなこの世界の住人。それを覚るのが行。何しろ私しゃ行の先達、あと5年も務めれば大先達にもなれようかという。
藪を漕ぐこと5時間、ようやく三角点山の頂に達した。やれやれと一同腰を下ろして大休止。ここは人が手を入れて切り開かれた、人間の世界。獣の世界から人間の世界に戻って安堵、一気に緊張が解けたか、次々と横になる。ここは美人林に勝るとも劣らないブナの森、果たしてそれが眼に入ったかどうか。
三角点山の山頂からは、整備された登山道を下る。途中にブナの異形樹が次々と現れる道。鉈に雪に、何度傷めつけられたことか。その都度めげずに根を伸ばし芽を吹き枝を伸ばすド根性の木。これが生き物の本性。木も獣も人も虫も。
株立のこの木の周りに全員集まって記念の写真を撮った。斜めになった幹の上部に登ってポーズを取ったイサッタ奴が映っている写真は、Unqさんの秘蔵。これは、4日前の下見で取っておいたイサッテない写真。
あと100年たてば、この木はこの界隈で並ぶもののない異形樹になる。奥胎内のなんてあんなもんじゃないあんなもんじゃないと言える日が来る。
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