綿野舞(watanobu)山歩紀行2020
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1月26日 僥倖を使い果たさぬ心がけ
五頭山~菱ヶ岳 最高点981m 新潟県阿賀野市  地理院地図は→こちら 
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山で好天に恵まれるのは僥倖としか言いようがない。去年の南ア悪沢・赤石縦走がそうだった。あの山で3日間も富士が見えるのは滅多にないのだと聞いた。そこで僥倖を使い果たしたのか、その後の薬師岳は凄まじい強風に煽られた。禍福は糾える縄の如し、人の幸せはバケツ一杯分みな平等とも言われる。要は一気に使い果たしてしまわぬよう心がけること。この日の五頭~菱ヶ岳縦走も絶好天だった。放射冷却でキリッと身の引き締まる冷気の中を登り始めると、やがて山の端から朝日が射し込んで、春のような気分で霜柱を踏み踏み登る。固い積雪の稜線に出れば、真っ青な空、真っ白な飯豊連峰。180㎞も先の山々まで遠望できる大展望。これが僥倖でなくて何だろうか。それが午後になって、目的地の菱ヶ岳の向こう側から黒雲が湧き、下山する頃には小雪が舞い始めた。思えば前回も全く同じパターンだった。下山近くには小雪ならぬ小雨が来てカッパを着込んだものだ。僥倖には多少の奇禍が伴ってちょうどよい。それが僥倖を使い果たさないための心がけというもの。
 渡辺伸栄watanobu
登り始めて1時間標高500mに達した頃。まだ冷気の残るブナ林、霜柱の立つ登山道に温かな朝の陽が射し込む。いい日に恵まれた喜びが顔に出る。
さらに1時間登ると標高は800mを越えた。三ノ峰直下のこの辺りは若いブナの美林帯。例年であれば幹に張り付いたエビのしっぽと枝に咲いた霧氷の花で見事な幻想の雪中美林になるところ。それはそれとして、固く締まった雪面から伸びる白いブナの肌も悪くはない。ここまで来る途中で、凍った雪道に合わせてアイゼンを着けた。
2時間半で一ノ峰の稜線に出た。一ノ峰から前一ノ峰にかけての長く平らな稜線は、天空の雪上回廊。周囲の山々を360度見渡しながら歩く醍醐味、この山最大の人気スポット。 
一ノ峰の足下からずっと先に続く稜線の先が目的地の菱ヶ岳。例年なら木々は深い雪にすっかり埋もれ真っ白一色の稜線となるのだが、暖冬の今年は木々が多い。それに、これまで菱ヶ岳から五頭に向かっては何度か歩いているが、逆方向は初めて。それだけに、どんな稜線歩きになるのか新鮮な気分で挑める。 
五頭山から南西方向に米山が望めることは珍しくないが、その奥に妙高連山がここまで見えたのは初めて。肉眼でも妙高山、火打山、焼山が識別できた。その上、米山の後方に白い峰々。どの山が何山かは識別できなかったが、日本海へ下る北アの末端の山々、あれは富山・新潟県境、なつかしい栂海新道の山々。 
南方向にはいつも御神楽岳から守門岳がよく見え、それらの手前には日本平山や粟ヶ岳などの川内山塊が横たわる。今回は、それらの山々の奥に尾瀬の山々まで見えた。燧ヶ岳をズームで望めば特徴ある双耳峰がくっきり見えた。高々900mの山上からこれほどの眺望ができるとは、これまで何度登ったか分からない五頭山だが、改めてその魅力に浸ったものだ。 
五頭と菱の稜線のちょうど中間地点。あまりの絶景にただただほくそ笑む登山びと。 
正午になって、標高890mの稜線上で大休止。山はむやみに急ぐものではないというのが我らがポリシー。ピークハントが目的でなく、山に浸り山を感じ山を楽しむこと。アルピニストでありナチュラリストであることが、登山者でも登山家でもなく登山びとたる所以。 
山では初めてのドローン撮影、なかなか思うような角度から狙えない。せめて、まっすぐ上に昇らせてもっと上空から撮りたかったが、バッテリー切れの前に戻せるかどうか自信がなく、この辺りで妥協した。2020年山行は動画に空撮に多様な方法で記録を楽しみたいと思っている。乞うご期待といったところだ。
 
ポリシーだなどと御託を並べてはみたものの、登山はやはりてっぺんに達してなんぼのもの。午後2時過ぎて本日の目的地・菱ヶ岳山頂に到達。雲行きは怪しくなったが、それでも山頂にいる間、尾瀬の燧ヶ岳は見えていた。ここからは一気の下山、途中の杉鼻冬道に雪がなく想定外の難所になって手間取ったものの、2時間の急下りで天候大崩れの前に下山。かくて、毎年恒例の新春五頭登山メンバーそろっての菱縦走、幸先よく終了。2020年もにぎやかで笑いながらの楽しい阿賀北山岳会山行になりそうです。
YouTubeに動画付きの画像を載せました ⇒こちらから 
<コースとタイム> P発7:28~7:45どんぐりの森7:50~10:10前一ノ峰10:25~10:32分岐~12:02稜線上で大休憩13:21~14:09菱ヶ岳山頂14:17~15:16杉鼻冬道通過15:23~16:22 P着
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