山の記 2020
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11月3日(火)  錦秋の高坪山のブナ美林
高坪山570.4m 新潟県村上市・胎内市 地理院地図は→こちら
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初心者講習会と銘打って、阿賀北山岳会の社会貢献(かな?)。もう山は諦めていたとおっしゃる大ベテランにも参加していただいて、初心者、小ベテラン、中ベテラン、大ベテラン、皆さん和気あいあいムードでゆっくりゆっくり、通常の倍近く時間をかけて登り下り。高坪山のブナ林は四季それぞれに美しく、特にこの日は、樹間に錦をちりばめて、それがまた、日が照ったり小雨が来たりで七変化。おまけに俗に言う「ブナの滝」(樹幹流)まで見られたりして、晩秋の山の気配をたっぷりと感じ取れた日でした。どんな山もゆっくり登れば登られると言ったのは、今は亡き田部井さん。今日はまさにその実践。幾つになっても、歩ける限り自分のペースで山を楽しみたいものだと、大ベテランの方々の姿から教えられた一日でした。山の尊さは高さにあらず、山を楽しむ人の心にこそあり。心から山を楽しめる人の笑顔、いいな~。そんな笑顔をいっぱい撮らせてもらって、ありがとうございました。
 渡辺伸栄watanobu
駐車場に7:30現地集合。だからここで人員点呼。と、そのとき「あ、虹だ!」の声。なんとも幸先よく虹の下での開会式。いい一日の始まり。と、思いきやこの直後に雨雲かかりにわかにカッパを出したり傘をさしたり。前日までの晴天予報、外れたり。
傘さしながら急坂の階段をものともせずに高度を200数十メートル稼いで、ここは、標高375mの休憩所見晴台。「雨だー、予報が外れたー」などと誰もこぼさない。カッパも傘もスパッツも、登山となればどれも嬉しい支度なのだ。顔に出ている。
ほらね、この笑顔。カメラを向けた時だけではない。この顔で、歩きながら登りながらしゃべり続け。賑やかな雨中登山。さすがのクマも恥ずかしくて出ては来られない。
ちょっと雨脚が強くなったと思ったら、ブナの幹に雨水が伝って、「ブナの滝」。正式には樹幹流という。ブナの葉一枚一枚が受けた雨水を、微妙にくぼんだ葉脈を伝わせて葉柄から小枝へ大枝へ幹へと集め、その水が滝のように流れ下ってブナの根元の地中へ吸い込まれていく。ブナ林が水源涵養地となる所以。空中から見下ろせば、葉一枚一枚が重ならないようになっている。すべて、ブナの木の知恵。Tosikoさん、じっと見つめてポツンとおっしゃった。「ワタシ、この水、若い頃飲んだことあるワ。」遠い目をしていたな~。
最高齢は86歳のご婦人。ずっと昔、まだ朴坂山にすら登ったことがなかったUnqさんをそこへ案内したのだとおっしゃる。Unqさんの遠い目をもってしても届きもしない、ズーっとズーっと遠い昔のことらしい。普段はテニスで鍛えておられるとのこと、カクシャク颯爽たる登り下りに一同、感嘆賞嘆しきり。
山頂直下のブナ林を登る。高坪山のこの場所のブナ林はとりわけ美林。芽吹き前、新緑、残雪、いつの時季に来ても美林。落葉のこの時季もやはり見事。白黒マダラの樹幹模様がなんともいい。最後の急登、ブナの木肌を愛でる余裕があったかな~。
先に着いた人が撞く鐘の音に引かれるようにして、次々と山頂に登り上がる。急坂登りの後の山頂平面がなんとも嬉しい。着いたー、登ったー、がんばったー!頂に達したときの感慨は、山の高さには関係ない。登った人にしか分からない。人はとにかく、高いところに立ちたがる。
山頂で暫しの感慨に浸り、ひといき、ふたいき入れた後、第2の山頂を目指して移動。緩やかなアップダウンの道は、高坪山塊の主稜線。ゆったりとした山歩道。
休憩地に選んだ飯豊連峰展望台。地図上で調べてみれば、ここの標高は山頂より5mほど高い。だから第2の山頂。
電波反射塔が露骨に立っていてやや趣に欠けるが、ここからの飯豊連峰はすばらしい。残念なことに今日は雨雲の中で飯豊の展望はなし。代わりにドローンから展望台を展望。
ドローンを高く上げて下界を見れば、予報通りの晴れだったようで、荒川の河口には日も差していて、粟島も見えている。
大勢で来れば、誰かが何かを発見してくれる。意外なことに大石ダムが見えていた。これまで何度も来ているが、気づいたのは今回初めて。高坪山から直線で約9㎞、望遠でよくよく見てみれば、あれはダムの東端と右岸の取付道路。ダム下流の公園がよく見えた。
展望台でゆったりと過ごした後、虚空蔵ルートの周回路へ。山頂からここの分岐点まで、低山ながら主稜線の山歩を楽しめるのも高坪山の魅力。早く着いた人たちが落ち葉を集めて、大石の上に敷き詰めて遊んだらしい。みんなで「もみじ」の歌を合唱したのかもしれない。長ーい隊列の最後尾の小生には聞こえなかったが。
真っ赤なもみじの下を行く真っ赤なコート。帽子といいスパッツといい、この日のもみじの色にコーディネートしてきたのだろう。さすが、山慣れの大ベテラン。
急坂の急階段に差し掛かると、すかさず屈強のお兄さんがボディーガード役を買って出てエスコート。お兄さんの株の上がること上がること、天井知らず。おまけに、ここにはいない奥さんの株まで上がったりして。山はいいことづくめ。
というしだいで、無事の下山。若かりし頃の登山衣装を身にまとった晴れやかなTosikoさん、道中ずっとエスコートのSachikoさんとNoboruさん、三人のこの表情。いい写真をとらせてもらってカメラが一番喜んでいます。ありがとうございました。お疲れ様でした。
<コースとタイム> P発7:52-8:10登山口-9:25休憩所-10:45山頂11:00-11:20飯豊展望台(昼食休憩)12:30-13:20荒島城コース分岐-15:20登山口-15:30P着
ここに上げきれなかった画像はYouTubeにあります。⇒こちらから 
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