山の記 2021
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7月18日(日)~19日(月) 釜茹でに遭わねば遇えぬこの花に
以東岳 1771.9m 山形県鶴岡市
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ここは朝日連峰以東岳。初日はテント荷を背負って大鳥池まで標高差400mの荷上げ。その重いこと暑いこと。テント荷を担いだのは一年ぶり。足腰にズッシリと加重。おまけに、大鳥池からしみ出す水分で周囲は湿気むんむん。陽射しは炎熱。まさに釜茹での刑。さて、その翌日。大鳥池にテント荷を置いて、小ザック一つで以東岳へ。その身の軽いこと爽やかなこと。昨日とは大違い。おまけに、1600mの稜線に上ってみれば、そこは天空の花園。これほどの花盛りとは、想定外の極楽園。行く先行く先、ミヤマリンドウがびっしり。星のように散りばめた花あり、かと思えばブーケのような塊あり。稜線道の両側、何処までも何処までも紫の星の道。さらには、ヒメサユリとニッコウキスゲのコラボレーション。思わずブラボー、アンコール‼。それに応えて、出てくる出てくる。緑の草原にピンクと黄色の配色。次はなんだ?おお、キンコウカ。これは草原の黄色の星。トキソウにオノエラン。ミヤマダイコンソウにタカネマツムシソウ。もう秋の花。百花繚乱千紅万紫とはまさにこのこと、いやはや驚きましたですねえ。
 渡辺伸栄watanobu
1日目 登山口の泡滝ダム駐車場。6時に関川村を出てここまで3時間。すでに満車に近い状態
出発して45分、2㎞ほどの地点に立派な滝。なぜか地図に名前はない。周りにピンクのシモツケソウが花盛り
ルート上に吊橋2ヶ所。こちらは最初の冷水沢を渡る吊橋。背の荷が重いせいかよく揺れる
ここが2ヶ所目。赤川本流の吊橋。大鳥池の水が鶴岡市街を抜けて日本海へ流れる川。飛び込みたいほどの清流
まずは大鳥池キャンプ場にテントを張ってひと安堵。周りはニッコウキスゲにヨツバヒヨドリの花盛り
テントの周りの草むらに、ノウゴウイチゴがびっしり、2日間食べ放題。2日目の撤収時、摘まむ我らを見て釣り師の女性が「美味しいですよね」なんて声をかけて通った。大鳥池は釣り師のメッカ。
UnqさんとYoumyさんが用意して担いできた夕食。小生はただサバ缶を1個提出するだけで夕餉の宴に参加させてもらった。油揚げ一枚で闇鍋に参加したみたいなもの。メニューは定番、焼肉にソーメン。焼肉で腹いっぱいでもう食えねーなどと言いながら、ソーメンをすっかり平らげた。小生のサバ缶は、1年前の頼母木山で食べた残りの1缶。サバ缶を水で溶いて麵つゆに混ぜ、そこに冷水で洗ったソーメンを浸して食べる。何十年か前にUnqさんが狐穴小屋で登山人から教わったというメニュー。夏山の贅沢。
大鳥池は静謐そのもの。水面鏡に明日登る以東岳と以東小屋が逆さに写っている。
2日目朝、大鳥キャンプ場の水場と大鳥小屋別名タキタロウ小屋
今朝も静謐そのもの。Unqさんは、タキタロウが跳ねる音を聞いたと言うが水紋すらない
キソチドリ この花を珍しがった頃がなつかしい
大鳥池湖畔から尾根を500m登り上がって1400m、稜線と合流する三角峰間近の地点。ここまで上ればもうこちらのもの。ここからは眺望の効く稜線歩き。右端に見えるのが目指す以東岳山頂、その右下方にちょこんと以東小屋。ここからぐるっと天空の路を歩いてあそこまで行く。昨日の苦労は、今日の天空漫遊のための下準備。
アオノツガザクラ 朝露がしっとり この水分が植物の命、自然の妙
天空の稜線道にはミヤマリンドウがびっしり。どこまでもどこまでも、絶えることなく。これほどのミヤマリンドウを見るのは初めて
雲湧く天空の路。日が陰れば、昨日の釜茹でが嘘のように涼しい
タテヤマウツボグサ
タカネマツムシソウ 夏の終わりの花がもう咲いている
ニッコウキスゲの向こうに以東小屋 その左が山頂
ハクサンフウロ 蟻を導くための筋だというが、花に聞いたわけでもあるまい
ハクサンイチゲ 何度逢ってもいい花だ
ミヤマコウゾリナ この白髪の美しいこと
ミヤマホツツジ 天狗の鼻 何を自慢しているのやら
ヒメサユリ 谷間を見下ろすのが好き 
ニッコウキスゲ 一夜花だというが本当だろうか、テント場の花は夕べも朝も咲いていたが
おおーもっと光を!
オオコメツツジ 色づいているのは初めて見た、花の終わりごろだからだろうか
ハクサンシャクナゲ
トキソウ 湿地の花だとばかり思っていたら、乾燥の稜線に咲いていた
大朝日岳は湧く雲に隠れていて、そこに続く稜線を撮った・・・と思ったのだが、狐穴小屋も稜線道も見えないから、支尾根かもしれない
ここまで歩いてきた稜線、天空の漫遊路 雲に隠れた月山が薄く見えている
ミヤマダイコンソウ
ウラジロヨウラク
以東岳山頂 手前に一等三角点 バックに大鳥池
ヨツバシオガマ
山頂と以東小屋を後にして、下山はいつも後ろ髪引かれながら、とっととっとと大急ぎ 
大鳥池を目指して急降下
さっきまで歩いた天空の漫歩道 真ん中の三角峰から左に流れる尾根が登ってきた道
下山路にもずっとミヤマリンドウ、そこへキンコウカのコラボ 紫星と黄星
キンコウカの群れ咲く下山道 これも湿地の花だと思っていたが
急登路を下りきって、大鳥池の上流部に到着。岸辺にタキタロウの子どもが泳いでいた
湖畔を半周してようやくキャンプ場脇の水門に到着 この水門、工事費に5億数千万円かけたのだとか
テント荷を背負って泡滝ダム登山口へ戻る途中 苦あれば楽あり、楽あれば苦あり 自ら求めた人生
慰めるのは花 エゾアジサイ
泡滝ダム到着 重荷を背負ってお疲れさまでした
<コースとタイム>
1日目(7/18) 泡滝ダム登山口発9:33―13:57大鳥池(テント泊)   2日目(7/19) 大鳥池発5:57―8:22三角峰―9:36オツボ峰―11:26以東岳山頂11:49―12:00以東小屋―13:54東沢徒渉―14:44大鳥池着(テント撤収)発15:29―18:43泡滝ダム登山口着
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