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平田甲太郎家文書<江戸大坂廻米関係文書>
京屋七左衛門差配御用船積立一件  天保3(1832)年 平田家文書№627
廻米を千石船で運搬中に、「欠減害」となった米の処理について、これまで通りでよいかと念押しの問合せです。
「欠減害」の米とはなんでしょうか。調べてみると、どうやら、次のことのようです。
日本海を運行する廻米は長期にわたります。どうしても、運送途中で俵の中の米が減ったり、あるいは水を被ったりします。それで、新潟や江戸で廻米を船から降ろした際、俵の中の米の量を計り直し、不足分を補充して詰め直します。そのための補充用米も予め船に積込んでおきます。
年貢米として納めた米の廻米運送費用は幕府持ちです。ところが、補充用の米の運送費用は、農民側の負担でした。
着船後、俵の詰め直しをして、それでも出た余りの米は納税側の米です。また、俵から出たり水を被ったりしたとしても、米は米です。これらは農民側の取り分で、換金されて、それで長期出張の滞在経費を捻出していたという訳です。
この一枚の文書から、年貢米廻船の仕組みが見えてきます。
それにしても、米による納税というのは大変な作業であり、大変な仕組みであることに、あらためて驚かされました。
 
 
 
 
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