綿野舞(watanobu)の林間記2018
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9月13日  倍返し 孤軍奮闘 ハチ戦記
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山で怖いものと言えばハチにマムシにクマ。ハチの中でも怖いのはオオスズメバチ。山林の夏草刈り払い中に、そのオオスズメにやられた。やられたらやり返す、以下はその戦いの顛末記。
渡辺伸栄watanobu
ハチ戦記1 遭遇戦
9月2日。草藪にツルボを見つけた。小さくて可憐な花、刈り取らずにおいてカメラに収め、休憩時、画像をFBにアップするなどして、またのんきに刈り払いを再開。
突然右足脛に、ズッキ~ンと異様な激痛。見れば、黄色と黒の虎縞模様。瞬時に振り払うと同時に飛びずさり4~5mほど走って後退。幸いなことに第2波攻撃はなし。屈み込みながら恐る恐る現場を透かして覗き見れば、古い大切株の根元辺りにオオスズメバチが5・6匹飛び交っている。あの切株の中に巣があるに違いない。それを知らずに草刈機の回転刃を突出したのだ。2mほどの長さの草刈機を操作して踏み出していた右足へ、敵1匹、いきなりの攻撃だった。
急いで軽トラへ戻り、こんなこともあろうかと用意していた吸引器でハチ毒を吸取り、虫刺され用の薬を塗って応急手当。痛いは痛いが、我慢できないほどではないし、腫れも出ているが歩けないほどでもない。車内に積んであったバズ-ガジェットの強力殺虫剤を持って、再度現場へ。4m程の距離から切株の根元付近へ噴射。付近を飛び交っていた敵は、草藪に落ちたり遠くへ飛び去ったり。恐る恐る2m程まで近づいて覗き見ると、どうやら周りの草などが邪魔をして肝心の巣の入口へは噴射されていなかったらしく、根元からもぞもぞと這い出てくる様子。慌てて安全地帯まで後退。もう殺虫剤は使い切ったから、これ以上の交戦は不可能。休戦状態にして、小1時間ほど別のずっと離れた場所の草を刈って帰宅した。
その夜、刺された足の痛みと痒みで寝られない。それだけでない。2時間おきに膀胱がパンパンになる。どうやら、我が身体、必死になって夜通し解毒作業を遂行していたようだ。翌日は、寝不足もあって終日完全ダウン。右足はパンパンに腫れあがり、足首は締め上げられているような痛み。まるで悪霊が取付いて両手で強力にしがみつかれているような気分。
あまりの痛さに、だんだんと怒りが湧いてきた。これほどの苦しみを与えられる理不尽さ、このままにしておいてなるものか。復讐心がむらむらと燃えあがる。
ハチ戦記2 復讐戦
9月5日。前日の雨が上がって、やおら現場へ。そっと様子を窺うと、敵め、何事もなかったように平然と飛び交っている。早速、戦闘開始。持ってきたバズ-ガジェットを噴射。まずは飛び交っている敵を黙らせる。次いで、タオルにたっぷりと草刈機用の混合油を染込ませて、3m程の位置から切株の根元へ投擲。見事命中。次に、杉の枯れ枝の先端部分の葉に混合油をかけ、枝の根元をもって葉に点火、燃える枝を先ほどのタオルめがけて投擲。これも見事命中、タオル発火。
巣の外で2匹ほど飛び交っていた敵も、最早戦闘意志は喪失したらしく、こちらに向かって来る様子はない。その後も油をかけたタオルと杉葉を投入して火攻めを続行。ややあって鎮火した後、切株の根元まで行って、株の中を覗いて見た。案の定、根元は空洞になっていてその中にオオスズメバチの巣が見えた。まだ動いている奴もいる。巣の中に混合油をたっぷりと注ぎ込み、着火してとどめを打った。これにて、戦闘終了。
あそこまで痛い目に遭わせられなかったら、ここまで徹底して復讐するつもりもなかったのだが・・・。雉も鳴かずば撃たれまいに。どうか悪く思わないで、成仏してくれたまえ。
  
ハチ戦記3 殲滅戦
9月12日。秋晴れの下、久しぶりの刈払いに山林へ。最早全滅しただろうと切株を覗いて驚いた。巣の外にはハチの死骸が固まっている。中を覗くと、ハチが動いている。多分、巣の奥にいて生き残ったヤツラだろう。火攻めで戦死したハチを巣の外に運び出し、損傷した巣を作り直そうとしている様子。中々しぶとい、すごい生命力だ。
否、感心している場合ではない。明日には、Okkaaが栗拾いやら茗荷採りやらで山林に来る。こんなオオスズメバチにやられたのでは命に係わる。ここは殲滅するしかない。前日の古道下見に持って行ったバス-ガジェットの新品が軽トラにある。それを持ってきて、巣穴の中に全量噴射。至近距離からだから、巣の中はビショビショに濡れた。相当の劇薬とのこと、今度こそ殲滅だろう。翌13日、巣穴を確認。中で動くものは皆無。やれやれだ。
かくしてオオスズメバチとの戦闘は終わった。終ってみれば、どこか不憫なような気も湧いてくる。すぐ近くに人の入らない林地がいくらでもあるのに、そこに巣を組めば、こんな目に遭わずに済んだものを。あるいはまた、人を刺してあれほどまでに苦しみを与えないのであれば、大目に見られることもないわけではなかろうに。
人類は常に、人ファーストでここまで何十万年生き延びてきた。仇なす敵は、細菌であれ猛獣であれ、殲滅するしかない。と、自分に言い聞かせながら。
栗の初物。ハチを無事退治して、20個ほど拾った。何のことはない、サル共の取り残し。ヤツラ、定期的に集団でやって来ては、木の上から青イガを落とし器用に手で剥いて食べていく。ま、こっちとしても別に栗を腹いっぱい食べたいわけでなく、季節の味を少々楽しめれば十分なのだし、ヤツラを追い払う有効な手段がないのだから、これからも分かち合いの精神でいくことになるのだろう。汗水たらした草刈が、サル共を喜ばしていると思うと、何とも癪なのだが。動物学者やら愛護団体が、これをもって野性動物との共生というのなら、それはそれで勝手にどうぞと言うしかない。ただ、ハチやマムシやクマとの共生は絶対に無理ですぞ。
サルの取り残しの栗、茹でて食べたが、それはもう美味しかった。これぞ秋の味。
秋の味と言えば、もう一つ。ミョウガ。こちらはサルが食べないので、Okkaaが大量に採取した。味噌汁に入れたミョウガの味は格別。今の時期のは夏ミョウガ、この後、秋ミョウガの収穫へと、割と長い期間ミョウガの味を楽しめる。
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